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アパートを支える緑の岩――よく見れば“首のない石の仏様”だったという怪
◇「ここに石仏があるなんて、全くわからなかった」
石仏の写真が撮影されたのは重慶市南岸区南坪街道。北京の有力紙・新京報などによると、石仏は高さ13mほど。あぐらをかいている姿で、両手を下腹の前で組んでいるようにみえる。右手は損傷しているものの、石仏に刻まれた模様がはっきりと浮かび上がっている。
肩から頭部にかけて存在したとみられる部分に、数百人が入居する集合住宅が乗っかっている形だ。見方を変えれば、石仏の胴体が集合住宅の「地盤」の役割を果たしていることになる。
石仏は、住民が近づくことができないような崖に彫られていたうえ、かつて多数の枯れ葉や家庭ゴミに覆われていたため、気づかれなかったそうだ。最近になって当局が付近を掃除したところ、石仏が姿を現し、その写真が中国のSNSを通じて広められた。
香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は「文化的価値について当局が具体的に調査中」と伝えている。何十年も付近に住んでいるという人物は地元のラジオ番組で「茂みに覆われていたせいで、ここに石仏があるなんて、全くわからなかった」と話している。
◇「頭部はどこに行ったのか」
この石仏をめぐり、中国のネット上にはさまざまな憶測が飛び交っている。
石仏の建立時期について「宋王朝(960〜1279)のころのものだ」「いや、清王朝(1636〜1912)の時期に彫られた」などの噂が飛び交った。だが、根拠のある情報ではないようで、南岸区の文化遺物管理事務所が文化的価値も含めて建立時期を調査しているという。
中国メディアの情報を総合すると、付近には1910〜40年代に寺院があったが、87年に取り壊されたようだ。その跡地に1990年、集合住宅が建築されたという。
ネット上の関心事は「頭部はどこに行ったのか」。ただ、これに関しても確かな情報はない。頭部が1950年に破壊されたという説がある一方、「破壊されたのではなく、そもそもつくられていなかった」という主張もある。
SCMPによると、この付近で70年間生活してきたという女性が「1950年代に『寺の中に石仏がある』と言われたが、自分の記憶によると、その頭部は彫られていなかった」と証言しているそうだ。女性は「(石仏の)建設は1949年の中国建国時に中止になった」との認識を示している。
中国には文化大革命(1966〜76)の際、「古い宗教や古い文化は社会主義にふさわしくない」との理由から仏像や石碑などが破壊された歴史がある。ただ、この石仏と文革の関係については語られていない。
文化遺物管理事務所は今後、専門家に調査を依頼して、関連法規に基づいて石仏の保護計画を策定するとしている。
中国の石仏としては、重慶に隣接する四川省楽山の楽山大仏(高さ71m)が有名だ。仏教の一大聖地・峨眉山とともに1996年、ユネスコの世界遺産に登録されている。
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishiokashoji/20201218-00213138/
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